黒猫系男子は今日も気まぐれ!?
おかしい。絶対におかしい。
何かの間違いだ。
HRの後、授業を受けあれから休み時間がくるたびに私は勉強をした。
今回の数学の小テストが成績に含まれるとか何とか、そんなことをクラスの子に教えて貰い、赤点にはならないように私は頑張った。
しかし、目の前には恐ろしい程真っ白な答案用紙が、窓から入る風でそよそよとなびいた。
いっそのこと私も風になってしまいたい。
唯一、埋まった答えは委員長が教えてくれた公式を使う問題だけだ。
もう諦めてしまおう。そう思い顔を上げ時計を見た。残り時間は十数分。
さようなら、私の冬休み。
こんにちは、赤点補修。
「それでは答案用紙を回収してください。」
最近頭の薄さが気になり始めたのか、髪の毛を異様なオプジェのようにフサフサとさせた先生が指示を出した。
後ろの席から回収をするため、私は立ち上がり自分の前列の人たちのプリントを集めていった。
途中、委員長の答案用紙も受け取ると、繊細な字で、空欄がびっしりと埋めつくされたプリントだった。
凄い…。この答えが合っているかは分からないけれど、凄いってことは私にも分かる。
「アイちゃんって凄いね。」
回答用紙を先生に渡し、自分の席へ戻るときにコッソリと委員長に言った。
「そんなことないよ。私ができるのって勉強くらいだから…」
うん。それが凄いんだよ。委員長。
きっと、委員長だって見えないところで努力してるんだろうな。
そんな素晴らしい努力を、たった数分の勉強会…、しかも勉強会(仮)みたいなもので、何となると思ったのが間違いだったか。
せめて、今度からは授業中寝るのを控えよう…。
色々と考えながら席に座る私を、一匹の黒猫がジッと見ていたことを私は知らなかった。