黒猫系男子は今日も気まぐれ!?
君のことを気になりだしたのは高校一年生の秋頃だった。
夏休みが終わり夏も終わり迎え、まだまだ残暑が厳しく半袖を着ているクラスメイトの中で、一人だけ、長袖を着て紺色のカーディガンを着ていたのが君だった。
一番後ろの席という最高なポジションにいる私は、何となくだけれどクラス全体を見渡せるこの席を気に入っている。
現代文を担当している先生の言葉を子守唄にしながら、うとうとと眠気と格闘していたら
「ハル、この問題を解いてみろ」
「えっ、」
突然の先生からの指名に眠気がぶっ飛び思わず立ち上がってしまった。
大きな音をたてクラスメイトの皆が私に注目をする。
「この言葉を訳せるか?」
「えっと……。分かりません。」
ドッ、と教室から笑い声が上がる。
先生は仕方ないな…とため息混じりに呟き、「中野!お前はどうだ?」と他のクラスメイトを指名した。
名前を呼ばれた生徒は「はい」と、短く返事をするとわ気だるそうに立ち上がった。
ここからの席では中野さんの顔は見えない。
「『彼は彼女の気持ちをとまどいながらも受け入れた。』です。」
「そうだ!えー、この時の主人公の心情は…」
何とか回避できた!やった!と心の中でガッツポーズ。
この時、中野さんの事が気になりチラリと見た。
そうしたら、目が合った。
「…えっ。」