黒猫系男子は今日も気まぐれ!?
「美味しい!ここのクレープは絶品だね!」
美味しそうにバニラアイスが乗っかったクレープを頬張るエリカ。
私はお気に入りのチョコバナナクレープだ。
放課後、私たちはショッピングセンターへ遊びにきていた。
クレープは一口食べるとホイップクリームの甘さと、チョコソースの絶妙な苦さ、そしてバナナの瑞々しさが口いっぱいに広がり思わず笑顔になる。
「そういえばハル、あんた午後の授業の時寝てたでしょ。」
「バレてた?」
「バレてるバレてる。現代文の先生はあまり厳しくないから大丈夫だけど、数学の先生だけは気をつけなよ。」
「分かってるって…。」
「とか言って数学の時もうたた寝してたでしょ。」
図星だ。
喉に詰まりそうになったクレープをレモンティーで無理矢理流し込む。
ふぅ、苦しかった…。
「あの先生だけは目をつけられたら最後だからね。」
「成績にも内申書にも響く。…だったよね?」
「そう!」
高校に入学して、早9ヵ月。
クラスメイトや先輩からの噂や情報で、どの先生が厳しいとか、どの先輩が怖いとか、その辺りは少しずつ把握し始めた。
「それにしても中野って頭良いのかな」
突然出てきた「中野」という二文字に、私はドキリとした。
「な、中野…さん?」
「今日の授業でスラスラ答えてたから。」
ああ、確かにそうだ。
エリカの言葉を聞きながら、私は、今日の授業の内容を思い出した。