黒猫系男子は今日も気まぐれ!?
「この問題の答えはこうで、つまり…。」
先生の説明が子守唄にしか聞こえない。そんな午後の授業。
先程の先生からの突然の指名から、私はうたた寝をせずに先生の説明を聞いていたが、なにも頭に入ってこなくて今すぐ寝たい衝動に駆られていた。
「…ということだ。分かった?」
はーい、とやる気の無さそうなクラスメイトの返事が教室中に響く。
あれから何度も中野さんの背中をチラ見するけど、一向に目が合う気配はない。
当たり前か。相手は一生懸命に板書を写している。
真面目だな。と、他人事のようにアクビをこらえていると、
「ハル、今度こそこの問題は分かるよな。」
「え!」
何と、本日2度目のご指名を頂いてしまった!
全然嬉しくない!
「……えっと、…3です!」
「今は数学の時間でもなければ、答えに数字の選択肢はないぞ。」
「ですよねー…。」
適当に答えみてもダメだったか。
クスクスと笑い声が聞こえる。いっそのこと思いっきり笑ってくれた方が助かる。
「じゃあ、中野。」
「はい。『彼女は手を離して走り去って行った。』」
「正解。」
その後も先生のお気に入りなのか分からないが、何度も中野さんを指名し、その度に君は正解を言葉にしていった。