黒猫系男子は今日も気まぐれ!?
無意識に猫を書くなんて…!!
顔に熱が集中している事が自分でも分かった。きっと今、耳まで赤い。
「猫を書くなんて姉ちゃんもまだまだ子供だな」
「う、うるさい…!年下のあんたに言われたくない!」
「はーいはい」
フッ、と鼻で笑い小馬鹿にするアオイ。
前言撤回。アオイに反抗期がきても寂しくなんかない。
「それにしても姉ちゃんって猫が好きだったっけ?」
オムライスを食べながらアオイは呟き、ソファへ投げ飛ばされた私のスクールバックへ視線を向けた。
そこには今日買ったばかりの、お揃いのファンシーな水色のイヌのキーホルダーがぶら下がっている。
「別に猫が好きでもいいでしょ…!」
「ふーん?」
特に気にする様子はなく、アオイはパクパクとオムライスを口に運んでいった。
単なるただの好奇心で聞いたようだ。
それにしても黒猫のピアスを見てから何だか猫を意識しているみたい。
ふと、頭に中野さんの顔が浮かんだ。
「いやいやいや!!ない!それはない!」
「え!?何、どうしたの!?」
いきなり叫びだした私にアオイは本気で驚いたのか、目を真ん丸とさせてこちらを見ている。ほっぺについたケチャップが何とも間抜けだ。
「…何でもない!」
「何が!?」
「ほっといて!」
「え、ええ…。」
納得出来ねぇ、とアオイはブツブツと呟く。
私は私で鳴り止まない心臓の音に自分でも驚いていた。
もしかして、私……。
いやいや、まさかな。
自分を言い聞かせるように無理矢理オムライスを口に入れ、一気に完食させた。
「ごちそうさま!」
「おう…、お粗末さま…。」
さっきから不思議な、いや、不気味な態度を取る私に、アオイは目をパチクリとしている。
「オムライス美味しかったよ。」
感想を言うと、
「本当!?良かった!今度は姉ちゃんが作るオムライスを食べさてくれよな!」
弾けるような笑顔でアオイは言った。
我が弟ながら、不覚にも可愛いだなんて思ってしまった。
ごめんね。
お姉ちゃん。料理下手くそなんだ。