Dance in the rain
プロローグ
努力すれば、夢は叶う。
いつか、努力は報われる。

ただひたすらに、信じていた。

放課後のパフェも、コイバナも。犠牲にして。
靴箱のラブレターも、メアドも。無視して。

いつの間にか、誰からも誘われなくなって。
海まで渡ったあたしは、家族からも完全なる異端児(エイリアン)扱い。

それでもあたしは踊っていた。

誰にも理解されなくてたって、構わない。
友達も恋人も、いらない。
だってあたしには、ダンスがある。

ダンスはあたしを、裏切らない。
そう信じていた。

なのに。
ある日突然、あたしは知ることになる。

走って、走って。恋愛も友情も、全部を犠牲にして走り続けても
たどり着けない場所が、あるってこと。

そこへ行くために絶対必要な切符を、あたしは持っていなかったってこと。



望んで望んで、ついに手に入らなかった切符。
その名は——才能。
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