Dance in the rain


悔しかった。


悲しかった。


辛かった。


怖かった。




……不思議。



過去形で吐きだすたび、あたしの中に折り重なって淀んでいた何かが、
崩れて、ほどけて……ふわりと、空気の中に溶けていく。

あたしが息を整えてると、翔也の手が、穏やかにゆっくり上下した。

なだめるように。慈しむように。背中に触れる。



「ありがと……翔……や」

あたしはぽつりと、つぶやいた。
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