Dance in the rain

手を伸ばして。そっと、葉っぱに触れる。

どうしてかな。

陽の光が、生い茂る緑が、うれしい。
愛おしい。

身体に満ちる何かを、あたしは確かに感じていた。
今までの自分にはなかった、何かを。

きっと……それは、あの時から始まっていたのかもしれない。
翔也と出会った、あの雨の日から——

あたしを抱きしめてくれた腕。
過去を受け止めてくれた眼差し。

考えただけで、呼吸が苦しくなるくらい、胸がきしむ。


これって……もう、ごまかせないよね。


あたしは、翔也のことが、好きなんだ。



この先ずっと、野良猫扱いかもしれない。
それでもいい。
それでもいいから。今は彼の、そばにいたい——
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