Dance in the rain

ほんっと、あいつってそういう奴だ。
性悪でガキでっ!!

ああもうっ!!

夢中でバシャバシャ水をかけて……顔を上げる。と。
「へ?」

鏡の中には、とことんマヌケ顔な、あたし。
な、何も描いてないじゃないっ!
だ……だまされたぁっ!!

「翔也っ!!」
キッチンに駆け戻って怒りに震えるあたしを見て、翔也は笑いをはじけさせた。
「お前って、ほんとに予想通りの反応するよな。マジで飽きねえわ」

「もぉおっ! ほんっとサイッテー!」
あたしは翔也の体をポカポカ叩きまくる。

なんでこんなヤツ好きになっちゃったんだろう。
早まったかもしれない……。

翔也は散々笑ってから。
あたしの頭に手を乗せて、ぐいって引きはがした。
「ほら、とっとと食って出かけるぞ。今日、店休みだろ?」
「あぁうん……え? でも、どこに?」

「どこにでも」
< 127 / 264 >

この作品をシェア

pagetop