Dance in the rain
女子か、ってくらい長いまつげ、少し垂れ気味の優しそうな瞳。
白い頬にかかる髪は、柔らかそうなハニーブラウン。
こ、こっちもイケメンだ……。
ぼうっとしながら、機械的にタオルを受け取る。
「お腹すいてるだろ、何つくろうか?」
カウンターの向こう、キッチンから黒いエプロンをかけた男性が顔を出した。
口周り、うっすら生えた髭と、盛り上がった腕の筋肉が、なんともワイルドな雰囲気を醸し出してる。
あの……なんですかこれ。
この、どこもかしこも、なイケメン祭り状態。あたし、夢でも見てるの?
もしかして、時差ボケの影響?
「マスター、オムライス頼むわ。こいつ、好きだから」
ぽかんとしてる間に、勝手に隣の彼がオーダーして。
黒エプロンのイケメンが「了解」って中に引っ込んでいく。
「ったく、心配ばっかりさせやがって。だからいつもそばにいろっつってんのに」
くしゃ……
髪の毛が彼の手にかき回される。
どきん——!
な、何でこんなドキドキしてんのあたし、こんな知らない男に……!