Dance in the rain
「お前はちょっと彼女のこと溺愛しすぎなんだよ。そのうちウザがられてふられても知らないからね」
生成りエプロンの彼が、からかうように言うと。
「いいんだよ、こいつ、オレにメロメロなんだから」
「な」って、また、あたしの頭をふわふわ撫でる。
「な」、って何。何なのーーーー!?
心臓がもたないんですけど!
誰かと人違いしてるのかな。
いやいや、さすがに彼女を間違えたりしないよね?
ばくばく乱れまくる胸を押さえながら考えてると。
——えーあたしもあんなイケメンに溺愛されたい〜。
——いいな〜うらやまし〜。
——もう行こうよーなんかカナシくなってくる。
窓際の女子グループが席を立って、お店を出ていく。
ちりちりん……
ドアベルの音が消えて。
途端。
「ざまあみろって思っただろ」
低い声が響いた。