Dance in the rain

え? って隣を見ると。

そこにはもう、さっきまでのとろけるような甘い雰囲気はかけらもなくて。
ただ、からかうような視線が、あたしを見下ろしていた。

「あ……」
もしかして。
そっか……この人、あたしのこと助けてくれたんだ?

くるっと見回せば、エプロン姿のイケメン2人は、彼の声が聞こえたはずなのに、知らんぷり。

なるほど。
彼らも、知っててノッてくれたんだ。
あんまりあたしが惨めっぽかったから?

は、恥ずかしいけど……でも、確かに助かった、かも。
「あの、ありがとう……ゴザイ、マス」

黒髪の彼は、「別に」って無造作に肩をすくめた。
「上から目線でリア充アピールに必死になってる奴が、マジでムカつくだけ」

はあ……?
イマイチ飲み込めなくて首を傾げていたけれど。

「はい、オムライスお待ちどうさま」
キッチンの中から差し出されたお皿を、反射的に受け取って。
あたしは、歓声をあげた。
「うわっっ!」
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