Dance in the rain

実はあたし、最近バイトまでの時間、この公園でこうやって自主練ぽいことをして過ごしてるんだ。

しばらくダンスから遠ざかっていた体は、なかなかスムーズに動いてくれない上、一人で練習を続けるのは想像以上にハードだし。

スクールに通うか、
アマチュアのグループを探そうかな。なんてことも考えてるけど……。

でも、大丈夫。焦ったりしない。
できることから、一つずつやっていこう。
今はただ、身体を動かしているだけで、楽しいから——


あの後、翔也からは何の連絡もなくて。
“雨音”に姿を見せることもなくて。
パリにいつ出発するのか、もしかしてもう出発しちゃったのか、それすらもわからない。

でもきっと、がんばってる。
自分の道を、歩き始めてる。
そんな気がするの。

——彼、あなたがどうしてパリ行きを断ったのか、ちゃんとわかってるわよ。

翔也のパリ行きを教えてくれた電話で、潤子さんが言ってたことを思い出す。

——翔也が私に言ったのよ。『オレはもっと強くならなきゃいけない。あいつの全部を受け止められるくらい、強く。だから、パリに行く』って。

——彼は、きっともっと成長する。そんな目をしてるもの。本当にありがとう、彼を変えてくれて。
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