Dance in the rain
「よぉ、久しぶり」
ラフな白のシャツに、ジーンズ姿の翔也が、
片頬をわずかに上げて、あたしを見た。
どくんどくん……
髪……ちょっと伸びた?
弾みだす鼓動を、一生懸命抑えて。
「ひ、久しぶり……」
上ずった声でつぶやいた。
「じゃあ、ちょっとこいつ、借りてくから」
そう言って、立ち上がって……ドアに向かう。
「え? は?」
話が見えなくて、あたしは振り向きもせず出ていく翔也をぽかんと見送って。
何よ、ついてこいってこと?
「行っておいで」
笑顔で手を振る純さんとマスターを見る。
「えっと、じゃあ……少しだけ」
ぺこっと頭を下げて、駆けだした。