Dance in the rain
沈黙をやぶったのは、翔也だった。
「2週間後に、出発する」
どくんっ——
揺らぎそうになる足を、踏ん張った。
笑え。
笑え!
「そ……か。いよいよ、だね」
わかってたことなのに。何度も、練習したはずなのに。
ダメだ、声が震えないようにするので、精一杯。
何か、何か話さなきゃ……っ。
でも。焦れば焦るほど、用意していた台詞は消えていく。
「ふ、フランス語、もう勉強してるの?」
必死で並べた言葉だったけど、見事にスルーされた。
「お前にちょっと頼みたいことがあって」
……は、い?
「た……頼み……?」