Dance in the rain

「え……っ……ちょ、ちょっと正気!? あたしはっ……」

「オレは正気だし、本気だ。もうプロジェクトメンバーも承知してる」

あたしは焦ってブンブン首を振った。
「無理だよっ! あたしはもう踊れなっ」
「純から聞いた。またダンスの練習、始めてるって」

「そりゃ、まぁそうだけど。でもブランクあるし、全然踊れるなんてレベルじゃっ……っていうか、翔也、まさかあたしのために……」

ふと頭に浮かんだ想像は、あたしの顔をひきつらせた。

だって翔也、あたしのダンスなんて見たことないよね?
遊園地で踊った、あのフラギャラくらいでしょ?

もしかして、あたしのために何か……

「ばぁか。勘違いすんな」
くすって笑んで、翔也はあたしの額をピンて弾いた。

「別にオレがごり押ししたわけじゃねえよ。ただ、カナダのなんとかっつうダンスカンパニーのオーディションでお前が踊ってる時の映像手に入れて、候補者選びのミーティングに持ってっただけ。お前は、自分の実力で選ばれたんだ」

「ちょ、ちょっと待って……オーディションで、あたしが踊ってる映像? そんなもの、どうやって……」
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