Dance in the rain

「よかった」
ホッと表情を緩めた彼の手が、あたしの顔に伸ばされた。

「……花梨」
頬に触れる、指の感触。甘やかな、感触。

指はそのまま、肩……腕をたどり、そして。
腰にからんで。ぐいっとあたしを引く。

「ちょ……っ!?」

「今日、お前に会いに来たのは」
抱きしめる腕に、力がこもる。
あたしの肩口に埋まった翔也の唇が、動いて。
熱を灯す。

「う……うん?」

「確かめたいことがあったから」

「確かめたい……?」

翔也の両手が、あたしの背中を、腰を、ゆったりと撫でていく。

ぞくぞく……っ


弾みそうになる呼吸を、無理やり抑え込む。

や、やだ……翔也ってば、こんなところで何を……っ!?
< 209 / 264 >

この作品をシェア

pagetop