Dance in the rain

「もしかしてあなた、花梨ちゃん!?」


ふいに。
奥のドアから女性が顔を出して叫んだ。
30代半ば、くらいかな。
ストレートの黒髪を肩の上でぷつっと切りそろえた、純和風って雰囲気の美人。
あたしは彼女に向かってお辞儀して。
「野々宮花梨ですっ、よろしくお願いしま」
「きゃああああああっ!」

へ?

いきなり、歓声とともにその人がものすごい勢いで駆けてきて。
そのまま。
ぶつかるようにハグされた。

え、
え、
えええっ!?

な、何!? この状況っ!

「やっぱり花梨ちゃんだったのね! ようやく会えたわ!」

やっぱり? ようやく?
< 212 / 264 >

この作品をシェア

pagetop