Dance in the rain
「あの子が、あんな楽しそうに踊るところ、初めて見たわ」
え……?
「あたしが厳しく教えすぎたせいか、美央、すっかりダンス嫌いになっちゃってね。でも最近、またここに通い始めたのよ。あなたにフラギャラダンス、教えてもらってから」
「え……そうなんですか!?」
うわ、なんだかものすごくうれしいっ!
「お友達のママが送ってくれたこの動画、毎日見て。花梨ちゃん花梨ちゃんてうるさいくらい話すの。だから私もあなたに会いたいって思ってたのよ。そこへ、今回の仕事がきて。花梨て、あまりない名前だし、もしかしたらって期待してたのよね」
まま、まさかの展開……。
なんて狭いの、この世界っ!
久美さんは、まだ呆然としてるあたしの両手を取ると、腕が抜けそうな勢いで振った。
「あまり時間はないけど、いいステージを作りましょうね!」
「ははっはいっ!」
あたしはつられるように、熱烈に頷いた。