Dance in the rain
足元。ぽとって落ちたセミの抜け殻に、自分が重なった。
「もう、ほんとに何もなくなっちゃった……」
あたしのつぶやき。それに重なるように……
タタタッって足音が駆けてきた。
一直線に、駆けてきて——
え……
まさか?
どくん……どくん……っ
そして。
黒いスニーカーが、セミの抜け殻を蹴飛ばすようにして、あたしの前に立った。
「やっぱり……っ……ここ、だったか」
ドサッと、誰かが隣に座る気配。
「あっちぃ……」って、肩で荒い息をしながら……
「……っ……」
自分の目が映しているものが信じられなくて、あたしは硬直したまま。