Dance in the rain
「理由は?」
どこまでも冷静に。彼の眼差しがあたしを問い詰める。
反対に、あたしの頭の中はますます言葉を探して乱れていく。
どうして?
あたしに、それ、聞いちゃう?
だって。
だって……!
「踊れるわけ、ないっ……あの子の、星羅の前でなんか!」
そうだ。踊れるわけがない。星羅の前で。
どうしても比べてしまう。
自分と星羅との踊りを。技術を。才能を。
どうしても考えてしまう。
星羅はあたしの踊りを、一体どんな目で見るだろう。
何を感じるだろう。
「やっぱり……そうか。高瀬さんが、牧星羅の話からお前の様子がおかしくなったって言ってたから……なんとなく予想はしてたけど。そいつなんだな? お前の因縁のライバルってのは」
「……ライバル?」
あたしの唇からは、かすれた笑い声が漏れた。
「肩並べて語っていいレベルじゃないってば」