Dance in the rain
「好き、だから……」
そう。踊ることが何より、好きで。だから……
翔也はあたしの背中に回した手に、きゅうって力を込めると、
「ほら、もう答え、出てんじゃねえか」って笑った。
「お前、オレに言ったよな? 好きなら描けばいい。描き続ければいいって。あれ、結構刺さったんだ。ここに」
そう言って少し体を離すと、自分の胸をトンて指さした。
「だから、同じ言葉、まんま返す。好きなら、踊ればいい。踊り続ければいい。誰に褒められようがけなされようが、比べられようが、関係ねえだろ。これが自分のダンスなんだって、胸張って、踊ればいい」
これが、あたしの……ダンス……?
翔也が、あたしの目を覗き込んだ。
「踊るのが、好きなんだろう?」
こくん、て頷くと。
再び強く、あたしの頬は翔也の胸に押し付けられた。
「じゃあ、お前はもうダンサーだ」