Dance in the rain
翔也の想いが、伝わってくる。
強い、想い。哀しみ。焦り。祈り。
その時、あたしはガラスを打ち続ける雨粒に気づいた。
強く。弱く。また強く。
ガラスにぶつかり、跳ねて、散って、流れていく。
まるで、彼の心に重なって、応えるみたいに。
あの時も、雨が降ってたっけ。
初めて翔也に会った日。
あの雨は……あたしの怒りだった。
翔也に腹が立って、たまらなくて。
そんな気持ちを代弁するような、激しい雨だった。
あぁ……そっか……
胸の中に、何かがことりと、響いた。
あたしたちの中にも、雨は降るんだ。
叩き付ける豪雨みたいな怒りや、
閃きとどろく、雷雨みたいな嫉妬。
前触れなく心を揺らす、夕立みたいな不安。
しとしと、静かに心にけぶる霧雨みたいな悲しみ。
あたしたちは、毎日、いろんな雨に打たれて生きていて。
だったら……あたしは——