Dance in the rain
雨の中で踊ろう。
みっともなくても。失敗しても。笑われても。
誰に、褒められなくても。
誰に、認められなくても。
ただ、必死に。ひたすらに。
どんな雨の中でだって、踊ってみせよう——
「中止でかまいません」
ギョッとしたように翔也があたしを振り返った。
「お前っ何言って……」
「でも、ロビーで準備していらっしゃる間、あたしが中庭で踊ることを許してもらえませんか」
「中庭で? 花梨ちゃん、何言ってるの? 外は今雨が……ステージももう解体済みなのよ?」
久美さんが眉を寄せる。
「ステージなんていりません。音楽も、照明も、何もいりません。衣装なら……もうあるし」
あたしは視線を翔也に向けて、微笑んだ。