Dance in the rain
「おま……っ……」
絶句して立っていたのは、ラフなTシャツ姿の翔也だった。
「なんつー恰好で出てくるんだよ。ったく、油断も隙もねえな」
あたしを押し戻すように部屋へ入って、そのまま後ろ手にドアを閉めた。
「しょ……翔也……え、なんで!? ショーは!?」
後ろのパソコンをガバッて振り返っちゃった。
「いつまで録画なんて見てるんだよ」
「ろろ録画ぁ!?」
「とっくに全部終わった。もうレセプションパーティーが始まってる」
「え……そ、そうなんだ」
「どんだけ天然なんだよ」
呆れたようにドアにもたれて、あたしを見る。
「パーティー、出なくていいの?」
たしか、関係者は全員参加するんじゃなかった?
「その前に、聞いておこうと思って」
「聞く……って、何を?」
「ご褒美」
にっと唇の端が持ち上がった。
「ごほうび……」
「オレの頼み、聞いてくれたから。だから、ご褒美。言えよ。なんでもお前の望み、叶えてやる」