Dance in the rain

その声は、すごく苦しそうで、悲しそうで。
そして翔也の手は、まるで、何か大切なものを取り戻そうとするみたいに、空中に向かって伸ばされてた。


「………ジュン、……さ……」


え——

ジュン……?


ジッと待ったけれど。
でも、それ以上翔也の唇は動かなかった。



ゴロゴロ……


はるか遠く、かすかに響く雷の音が、次第にあたしの鼓動にシンクロする。


ジュン……純?

ねえもしかしてそれって。
“雨音”の純さん? 仁科純、のこと?


あたしはきつく、胸を押さえた。
純さんと翔也って……
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