私と二人の物語
「武井?」

「あ、これ。素敵ですよね」

私は目の前のぶたの形のマグカップを指差した。

「素敵って、武井…」

先輩は苦笑していた。

「買ってやろうか?」

「…いえ、いいです」

「だよな」

私も苦笑。

「じゃ、カフェでお茶するか」

「はい♪」

私は流してくれた先輩に笑顔で答えた。


先輩のお勧めのカフェは、明るくイマドキの内装だった。

「へえ~」

私は少しぽか~んとして中を見回していたみたい。

視線を先輩に向けると、彼はプッと吹き出した。

「ちょっと先輩…」

私は多少抗議気味な表情をしたが、先輩はけらけら笑っているだけだった。

「お前、やっぱりいいよな」

「え?」

笑いながら言った先輩の台詞にちょっと戸惑ったけど、彼はちょうど来たウエイトレスに意識を向けた。

「武井は何にする?俺はブレンドとこの蕎麦のガレット」

多分、ここのお勧め。

「あ、じゃあ、私もそれで」

ウエイトレスは注文を書き留めると頭を下げて行った。
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