私と二人の物語
第8章
年末は両親が家にいる感じで出掛けられなかった。
年始も挨拶に来るお客さんが多くて、出掛けることはできなかった。
前もそうだったと、悟もそれは承知のことだった。
トントン。
「はい」
ノックの音に返事をすると、好江さんがドアを開けた。
「旦那様がちょっと下に降りて来るようにと」
「え?」
「篠田さんが新年の挨拶にお見えになってるので」
「ああ…はい。すぐに行くね」
「わかりました」
好江さんは頭を下げると降りていった。
トントン。
「お父さん」
私は応接間のドアをノックした。
「ああ、来たか。入りなさい」
「はい」
私は父の返事を聞いてドアを開けた。
私が部屋に入ると、暖炉を背にした父の斜め前に篠田さんが座っていた。
「本年もよろしくお願いいたします」
新年の挨拶をして、私は彼の真向かいに座った。
今日はいつも見かける白衣ではなく、スーツ姿で素敵だった。
話している姿には、院長やその家族に媚びた感じはなく、いつもどおりの柔らかな雰囲気。
「最近、君の腕に頼ってばかりのシフトで申し訳ない」
父が軽く頭を下げた。
「院長、そんな…」
彼は軽く手を振りながら少し恐縮ですという感じで言った。
まだそんな誠実さと若さはあるけど、判断力、決断力もありそうで、確かに父の後を継げそうな人だと思う。
年始も挨拶に来るお客さんが多くて、出掛けることはできなかった。
前もそうだったと、悟もそれは承知のことだった。
トントン。
「はい」
ノックの音に返事をすると、好江さんがドアを開けた。
「旦那様がちょっと下に降りて来るようにと」
「え?」
「篠田さんが新年の挨拶にお見えになってるので」
「ああ…はい。すぐに行くね」
「わかりました」
好江さんは頭を下げると降りていった。
トントン。
「お父さん」
私は応接間のドアをノックした。
「ああ、来たか。入りなさい」
「はい」
私は父の返事を聞いてドアを開けた。
私が部屋に入ると、暖炉を背にした父の斜め前に篠田さんが座っていた。
「本年もよろしくお願いいたします」
新年の挨拶をして、私は彼の真向かいに座った。
今日はいつも見かける白衣ではなく、スーツ姿で素敵だった。
話している姿には、院長やその家族に媚びた感じはなく、いつもどおりの柔らかな雰囲気。
「最近、君の腕に頼ってばかりのシフトで申し訳ない」
父が軽く頭を下げた。
「院長、そんな…」
彼は軽く手を振りながら少し恐縮ですという感じで言った。
まだそんな誠実さと若さはあるけど、判断力、決断力もありそうで、確かに父の後を継げそうな人だと思う。