私と二人の物語
少し世間話みたいな感じから、彼が買ったばかりの車の話になった。
「おお、あの車か!」
父も車は好きだった。
「ええ、やっぱりエンジンとかその操縦性とか感性に訴えてくるものがありますね」
スポーツカーで有名なメーカーの造ったSUVらしい。
「それは羨ましいな」
そう言った父は本当に羨ましそうだった。
母はあんまりそういうのをダメだと言う方じゃないけど、ただ、うちの2台分のガレージが空いていないだけ。
そのうち1台は母のだから、結局父は今あるセダンを買い換えるしかない。
「そうだ!」
父が何か思い付いた様に言うと、私を見た。
「お前も今度乗せてもらいなさい。篠田君、今度休みのシフトはいつだ?」
ああ、そうきたか…
「あ、でも、お嬢さんがそういうのに興味あるかどうか…」
「私、嫌いじゃないですよ」
仕方なく言ったその言い方に、彼は「じゃあ、そのうちに」と、決まりかけた予定を濁してくれた。
篠田さんは、頭も良く、私にいつも優しい。
そして、彼もやっぱり私を名前で呼ばない。
そんなことにも気を使う。
実際、結婚相手としては申し分のない人。
私が断る理由がない。
断れるような嫌な人なら良かったのに…
だから、
悟とずっといられないと思っている。
「おお、あの車か!」
父も車は好きだった。
「ええ、やっぱりエンジンとかその操縦性とか感性に訴えてくるものがありますね」
スポーツカーで有名なメーカーの造ったSUVらしい。
「それは羨ましいな」
そう言った父は本当に羨ましそうだった。
母はあんまりそういうのをダメだと言う方じゃないけど、ただ、うちの2台分のガレージが空いていないだけ。
そのうち1台は母のだから、結局父は今あるセダンを買い換えるしかない。
「そうだ!」
父が何か思い付いた様に言うと、私を見た。
「お前も今度乗せてもらいなさい。篠田君、今度休みのシフトはいつだ?」
ああ、そうきたか…
「あ、でも、お嬢さんがそういうのに興味あるかどうか…」
「私、嫌いじゃないですよ」
仕方なく言ったその言い方に、彼は「じゃあ、そのうちに」と、決まりかけた予定を濁してくれた。
篠田さんは、頭も良く、私にいつも優しい。
そして、彼もやっぱり私を名前で呼ばない。
そんなことにも気を使う。
実際、結婚相手としては申し分のない人。
私が断る理由がない。
断れるような嫌な人なら良かったのに…
だから、
悟とずっといられないと思っている。