私と二人の物語
私たちはその儀式を終えると、また手を繋いで境内の中にある森を回ったりした。

この神社には恋愛パワースポットの杉の木もある。

そんな関係から、初詣といっても意外と若いカップルも多い。

私は、そんな人達を見ながら、同じ気持ちでいられたら、どんなにいいか…と繋がれた右手を見ながら思っていた。


「この後どうする?もう一度うちに来る?」

境内から出て、少し人混みから離れたところで、手を離すと、悟が言った。

「ごめん、今日はもう帰らないと」

「そっか」

悟は普通な感じで言ってくれた。

「じゃあ、これ」

「あ…」

悟が差し出したのは、赤い御守りだった。

さっき買ってたんだ…

「…ありがとう」

私は一瞬躊躇したけど、受け取った。

彼が取り出したのはそれだけだったけど、きっと、白い御守りを持ってる。

それは、当然なこと。

私は受け取るしかなかったけど、その御守りの御利益が必ず叶うものでもないと、思った。

「じゃあ、駅まで送るよ」

「あ、うん」

私は素直に頷いた。


人で溢れ、混雑した駅の改札口で悟と別れた。

彼は私が見えなくなるまで改札の向こうで見送ってくれた。
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