私と二人の物語
21時頃にはお開きとなった。

いつもは晩ご飯の前までには帰っているわけだけど、今夜は両親はいなかった。


洗い物とかは、私とつくしさんでやって、他は悟と勉さんにやってもらった。

そんなに時間は掛からずに片付けは済んで、私とつくしさんと勉さんの3人で悟に手を振りながら彼の家を出た。

3人でゆっくり坂を下りていたが、

「いやあ、楽しかったな」

勉さんが、かなり興奮していた。

確かに、この前の新年会っぽい時は、あまりゆっくりできなかった。

今夜は心から楽しめたみたい。

「前はこういうことなかったんですか?」

私は普通に聞いてしまったけど、勉さんが戸惑うようにつくしさんを見たので、彼女も少し顔を見合わせてしまった。

「あ、ごめんなさい」

私より二人の方が気を使っている。

「いや、そうだな…」

勉さんは頭をかいた。

「理由があるわけじゃないが、特にこういうのはなかったな。なあ?」

「うん、まあ、そうだね…特に理由があるわけじゃないけど」

つくしさんも取って付けたように言うと頷いた。

「…遠慮してた?」

私は苦笑しながら聞いた。

「遠慮、遠慮か…」

勉さんが、詰まって頭をかいた。

「そっか、ありがとうございます。でも、遠慮なんてしないでくださいね」

私は悟のこの先のことを思って言った。

つくしさんが少し、思うところがあるような雰囲気だったけど、

「そうか、わかった」

と、勉さんが笑って答えた。
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