私と二人の物語
家に帰ると父が帰っていた。


「…どうしたの?今夜は医師会の集まりじゃなかった?」

父は、リビングのソファーで新聞を読みながらウィスキーを飲んでいた。

医師会の飲み会の時は、いつも午前様のはずだった。

「ああ、会長が急に倒れて中止になった」

「え?会長さんは大丈夫なの?」

「ああ、自分のとこに入院したが、大丈夫そうだ」

「そっか。よかったね。…じゃあ、上がるね」

私がそのまま自分の部屋に行こうとすると、呼び止められた。

「こんなに遅くまで珍しいな。何してたんだ?」

「お友達と二人で新年会だよ」

私はなるべく動揺を悟られないように言った。

「その友達って男友達じゃないだろうな」

「もちろん、女性だよ。佐久間さん」

「そっか」

そこで父は新聞を広げたので、私はまた部屋に行こうとした。
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