私と二人の物語
先輩と二人だけの生徒会室。

さっきまで室内を赤く染めていた光もなくなって、窓の外はすっかり青くなっていた。

「武井、役員じゃないのに悪いな」

「いえ」

私達は、来週月曜の生徒会総会の資料を作っていた。

「それにしても、本来吉田の仕事なのに、手伝いの友達を置いて帰るなんてな…」

「まあ、それは承知の上ですし、仕方ないですよ」

友人で本来の役員の吉田萌絵は、塾があるから、それまでに終わらせようと私に応援を頼んだ。


『ごめん、塾までに終わらせないといけないんだけど、私の担当の資料作り手伝ってくれない?あとは折って綴じるだけなんだけど』

『いいよ』

『ごめん!この埋め合わせは、フォッシモ・パルレのシフォンショコラで!』

『え!ほんと!?』

『うんうん』

『やたー!』


「ということなので、気にしないでください」

「そ、そっか…」

先輩が苦笑していた。

やっぱり間に合わずに萌絵が先に帰って、独りで資料を作っていると、先輩が顔を覗かせた。

「武井…何でおまえ一人でそれやってるの?」

かくかくしかじか。

と、さっきの事を説明すると、

「じゃあ、俺もやるよ」

となったわけ。
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