私と二人の物語
あっと言う間だった。

このライブのラストとなるアンコールの演奏も終わった。

鳴り響く拍手と歓声の中で、moonsproutの二人とバックバンドのメンバーがステージを去った。

そして、会場の通常の明かりが付くと、ため息に似たざわめきが広がった。

「これをもちまして、本日の公演は全て終了となります」という場内アナウンスもそれをさらに強調する。

「終わったな」

「…はい」

私はほとんど座っていない椅子に腰を下ろすと、まだ、その感動の余韻の中で、ぼーっとしたまま返事をした。

横で先輩は、クスッと笑っていた。

「何かグッズでも買って帰る?」

「あ、はい」

少し意識を戻して私は答えた。

私は特に考えてなかったけど、やっぱりパンフとか何かが欲しかった。

立ち上がった先輩に、そのまま自然に付いて行った。
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