私と二人の物語
「高校ってどこでしたっけ?」

篠田さんが私に聞いた。

「西神大附属です」

「…ああ、そうでしたね」

彼は少し考えるように言った。

「で、こちらはうちの病院の篠田先生です」

と、先輩に篠田さんを紹介した。

「北山と言います」

「篠田です」

二人は軽く握手をした。

そして、篠田さんは私の方を向いた。

「そっか、あなたもmoonsproutが好きだったんですね」

「ええ。高校の時から」

「それは嬉しいな。僕も前から大好きなんです」

「あ、そうなんですか」

「でも、いつもこんな風に独りで来ていたんですよね」

「え?」

「で、今日は『たまたま』なんですよね?」

そう言って篠田さんは、私と先輩を見た。
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