私と二人の物語
その帰りの車の中で、あの頭痛について、一応主治医である篠田さんに聞いてみたけど、特に気にすることはないみたい。

タイミングもただの偶然か、何か意識的なものかもしれないとは言ったけど、いつもの薬はちゃんと飲んでいるか聞かれた。

それは忘れずに飲んでいると答えると、彼は安心したように微笑んだ。

頭の手術の後遺症を抑える薬…

本当はあの事故で、私も助からなかったのかもしれない。



家に帰ると、ちょうど父が帰っていて、コンサートには二人で行ったことになった。

そして、やっぱり父はそのことを喜んだ。


その日は、もちろん物語を書かなかった。

その後北山先輩からはメールが来ることはなかった。
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