私と二人の物語
私は、しばらく、美味しそうに食べる悟を見ていた。

「ん?」

悟がその視線に気が付いた。

「美味しそうに食べるなぁって思って」

「うん、本当に美味しいよ」

悟は、半分残していた。

「それも食べていいよ」

「え?でも…」

「大丈夫。うちの近所に新しくできた店なの。私はいつでも食べられるから」

「ほんと?」

「うん」

私はゆっくりと大きく頷いた。

「さんきゅ」

そして悟は嬉しそうに残りのカヌレに手を伸ばした。


(こんなものじゃ、昨日のお詫びにならないけど…)
< 144 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop