私と二人の物語
第11章
勉さんが来ている時のことだった。


「しまった…」

悟の声に、話をしていた私と勉さんはアトリエの方を見た。

「どうしたの?」

「あ、いや、絵の具が切れてただけ」

「じゃあ、買ってくるよ」

私はそう言って立とうとしたが、

「いいよ。そのまま話してて」

悟は、私と勉さんがさりげなく盛り上がっていたのを見てそう言った。

「やっぱり行くよ」と言ったけど、悟は「いいからいいから」と、さっさと出掛けてしまった。

私は軽くため息をつくと、勉さんと顔を見合わせた。
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