私と二人の物語
テーブルの上のカップが空なのに気が付いて、私は台所に行くとケトルを火にかけた。

「なあ、美緒さん」

私は勉さんの声にソファーの方を見た。

「はい」

目が合うと、勉さんは少し視線を泳がせた。

「勉さん?」

「ああ、すまん。気にしないでくれ」

そう言って勉さんは頭と片手を振った。

私はソファーのところに行くと、勉さんの前に座って少し身を乗り出した。

そして、

「勉さん」

さらに彼の顔を覗き込むように言った。

「うあぁ…その…」

私はじっと勉さんの目を見つめた。

「わかった、言う言う」

勉さんは片手で私の視線を遮ると、諦めたように言った。
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