私と二人の物語

桜が咲く頃になった。

家の近くもこの辺も、ちらほらと咲いているところはあった。

でもやっぱり、視界いっぱいの桜色の中を悟と歩きたいと思った。

「ねえ、悟」

私は、作業デスクで少し息抜きに伸びをした彼に声を掛けた。

「ん～、なに～？」

悟は伸びを続けながらこっちを見た。

「そろそろ桜が見頃でしょ？前はどこか行った？」

「ああ、それ！」

悟も言おうと思ってたという雰囲気でやって来ると、真向かいのソファーに座った。

「もちろん行ったよ。だから、そこに行こうかと思ってたんだ」

「あ、そうなんだ。どこ？」

この辺りで有名なところは六甲駅の隣駅前にある動物園が有名だけど、私達がそういうところに行ったとは思えなかった。