私と二人の物語
第13章
私も少しは慣れて、真面目な顔をしても吹き出さずに、悟の前に座っていた。

悟は絵の下の方で細かに筆を動かしていた。

私はその位置に少しだけ安心しながら、視線を外していた。

顔を描いている時は視線を合わせなければならない。

それに耐えられないから、きっと、吹き出してごまかしていたんだと思う。

今は、そのまま彼に視線を合わせていられる。


気が付くと、悟がその筆を止めていた。
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