私と二人の物語
「完成」

「え?」

「だから、完成」

「え!!ほんと!?」

「ああ」

悟は、自分でも再度確認するように絵を見ながら言った。

「ほんと?よかった!」

「うん」

「これでやっと、個展が開けるね…」

私は思いが口に出た。

「え?」

「あ…」

「なんだ、知ってたのか…。つくし?」

「うん、ごめん。でも、彼女が何か隠してるのを私が無理やり聞いたの」

「そっか」

呟くようにそう言った悟は、特に怒っている表情ではなかった。

「うん、まあ、そういうこと。この絵が完成したら個展を開くつもりだった。展示する絵は前から足りていたけど、そういうのをやるきっかけが欲しくてさ」

「そうなんだ」

さりげない言い方だったけど、その表情からは、やっとここまで漕ぎ着けたという感じがあった。

私も、顔には出さなかったけど、これ以上ない安堵感を感じていた。

後は、個展を終えることが大切だった。
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