私と二人の物語
私は机に座ると、引き出しから「私と二人の物語」を取り出した。
私、美結と、美緒と悟の物語。
私は、そのタイトルをそっと指先でなぞった。
あの日、六甲駅で悟にいきなり抱きしめられた時に、美緒の事故の理由がわかった。
美緒には恋人がいた。
だからあの日、篠田さんとの結婚について父と口論になり、美緒は家を飛び出した。
その結果、後を追いかけた私と美緒は車にはねられた。
私は、早々に決められた婚約に納得していたはずの美緒が、結婚の日取りをきっかけに、急に父に反抗した理由がわからなかった。
口論している時も、恋人がいることを一切言わなかったから、まるで想像がつかなかった。
確かに、婚約は早かったけど、私も美緒も実際の結婚まではまだ実感していなかった。
だからこそ、美緒には、結婚式の日取りを父に言われたことが受け入れられなかったのだろう。
私も、今はその気持ちが、自分のこととして、わかる。
私は、そんな美緒が悟と、どんな日々を過ごし、どんな気持ちだったのか、それを知りたいだけだった。
たまに入れ替わるということをしていたとしても、あの瞬間に思い付いたことは、本当は絶対にしてはいけないことだった。
私、美結と、美緒と悟の物語。
私は、そのタイトルをそっと指先でなぞった。
あの日、六甲駅で悟にいきなり抱きしめられた時に、美緒の事故の理由がわかった。
美緒には恋人がいた。
だからあの日、篠田さんとの結婚について父と口論になり、美緒は家を飛び出した。
その結果、後を追いかけた私と美緒は車にはねられた。
私は、早々に決められた婚約に納得していたはずの美緒が、結婚の日取りをきっかけに、急に父に反抗した理由がわからなかった。
口論している時も、恋人がいることを一切言わなかったから、まるで想像がつかなかった。
確かに、婚約は早かったけど、私も美緒も実際の結婚まではまだ実感していなかった。
だからこそ、美緒には、結婚式の日取りを父に言われたことが受け入れられなかったのだろう。
私も、今はその気持ちが、自分のこととして、わかる。
私は、そんな美緒が悟と、どんな日々を過ごし、どんな気持ちだったのか、それを知りたいだけだった。
たまに入れ替わるということをしていたとしても、あの瞬間に思い付いたことは、本当は絶対にしてはいけないことだった。