私と二人の物語
私は、そのしてはいけないことから生まれた物語を、最初からゆっくりめくっていった。

ノート半分くらいまでは、美緒との1年間。

完全じゃないけど、悟との半年の間に聞いたことで、ほぼ埋まった。

美緒が悟と過ごした日々は、夜のこと以外は、もうわからないことはないと思えた。

そして、残りの半分で約1年間を書こうと思っていたのに、半年でほぼ埋まった。

その中身の濃さは、美緒と悟が過ごした時間の倍と言ってもいい。

それは、そう。

私自身が見聞きして、体験し、実感したことだから。

私自身が、悟と過ごした時間だから。

どのページのことも鮮やかに脳裏に浮かんだ。

褪せた部分はまだ何一つなかった。

文字にした分、いつまでも鮮明に上書きされている。
< 213 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop