私と二人の物語
それからしばらく経ったある日のことだった。


トントン。

「お嬢さま」

「はい」

「あの…お客さまです」

「え?」

私はドアを開けた。

少し戸惑った好江さんの表情。

「どなた?」

「森山さんとおっしゃってます」

「え?」

「前におっしゃってた森山さんではないかと…」

「…うん、わかった。少し外で待っててもらって」

私は好江さんに心の動揺を悟られないように気丈に振る舞った。

「外でよろしいんですか?」

「うん。すぐ行くから」

「わかりました」

好江さんが下に降りていくと、私は少し身だしなみを整えた。
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