私と二人の物語
「さっき、美緒さんのお墓にお参りしてきたんです」

「え?」

「私も彼女とはそれなりに付き合いがあった訳だから」

「ああ…そうですね…」

その言い方に、彼女は少し眼をキツくした。

「それでも、勝手に人の家のお墓にお参りしたので、それをちょっと謝っておこうかと。私、あなたには少しも負い目を感じたくないから」

彼女は拗ねた感じで言うと、横を向いた。

「そっか…。ありがとうございます」

私は、頭を下げた。

「それは、それ。私はやっぱりあなたを許せない」

「はい、分かっています。どんなことをしても償えることじゃないから」
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