私と二人の物語
「お父さんのばか!」

あの日、父と口論して美緒は家を飛び出した。

「美緒!」

美結は、憮然とした表情で座る父を少し睨むと、その後を追った。

美結が門を出ると、少し先に、美緒の背中が見えた。

美緒は目の辺りを腕で拭いながら、早足で坂を下っていた。

「美緒!」

その声に気付くと、美緒は「来ないで!」と叫んで走り始めた。

「美緒!危ないよ!」

美結も叫んでその後を追った。

そして、最初の大きめの交差点だった。
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