私と二人の物語
美結はぼんやりとまた見え始めた横向きの視界の中で、動かなくなった美緒を見た。

「君!だ、大丈夫か!」

自分を撥ねた運転手が声を掛けているようだった。

でも、美結は美緒しか見ていなかった。

「美緒…」

声が出なかった。

身体も動かない。

目の前で見ているこの光景はなに?

向こうに美緒が倒れていて、誰かがしゃがんだまま電話している。

この横向きの風景全てがスローモーションのように揺らいで、まるで映像だけ見ているみたいに音が無くて…

なぜか寒くて…

段々暗くなって…

美結の意識もそこで途切れた。
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