私と二人の物語
ある日、ベッドの上で起きていると、白衣姿の篠田さんが一人で来た。

「具合はどうですか?」

彼は、優しく微笑みながら、ベッドの横の丸椅子に腰かけた。

私は、軽く、口元だけで笑みを作って返事した。

「痛みの方はどうですか?」

「まだ、あちこち…」

「そうですか。じゃあ、薬を出しておきますね」

「ありがとうございます」

私が頭を下げると、篠田さんはまた微笑んで、少し視線を外に向けた。

私もつられて、窓の方を見た。
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