私と二人の物語
「あの時、私が呼びかけても彼女は動かなかった…」

「いや、その…」

「それに、病室を捜してみたけど、美緒はいない。うちの病院以外に運ばれるわけないですよね?」

「えっと、あなたも頭の手術をして目覚めたばかりで、少し混乱しているようですね」

篠田さんは、必死に冷静を装って、笑顔を作ろうとしていた。

その雰囲気に、私は確信した。

「私達は双子です。わかるんです。もう、美緒を感じない…美緒は、死んだんですよね?」

篠田さんは、その時はもう何も言わなかった。

いや、口を開きかけては閉じて、なにも言えなかったという方が合っていた。


「すぐに薬を持って来させます。ゆっくり休んでください」

やっと、そう言うと、篠田さんは病室を出ていった。


その後は誰も、美緒が死んだことを隠さなかったけど、私もあえて触れなかった。

美緒の葬式は、私の意識のない間に終わっていたようだった。
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